Internal Research Memo

育成就労制度への移行と組合再編の論点

作成: 2026年6月2日 / 背景: 6/1夜 木嶋さん・酒井さんとの会話(「法律が変わるので組合を作り直す必要がある」)
対象: 日本エルダルト(測量・地質調査・環境防災)の外国人受入スキーム / 出典: 出入国在留管理庁・弁護士/行政書士法人の公開解説(末尾)

00 結論(3行)

  • 技能実習は2027年4月で廃止 → 育成就労へ全面移行。「監理団体」は自動移行できず、「監理支援機関」として新規許可を取り直しが必須。要件も大幅に厳格化=これが「作り直す」の正体。
  • 「木嶋さんと相互に監査し合う」案は、育成就労では成立しない見込み。外部監査人は他の監理支援機関の役職員になれず、かつ士業(弁護士・社労士・行政書士)が基本要件のため。
  • 最大の不確定要素=そもそも測量・地質調査が育成就労の対象業務か。特定技能「建設」は土木・建築・ライフライン設備の3区分に再編され、測量・地質・ボーリングは明示列挙されていない。木嶋さんに最優先で確認すべき。

01 制度変更の全体像

技能実習(現行)→ 育成就労(2027年4月1日施行)

項目技能実習(現行)育成就労(2027/4〜)
受入機関監理団体監理支援機関(再申請必須)
外部監査外部監査人 or 外部役員の選択制外部監査人を完全義務化(外部役員は廃止)
外部監査人の資格士業でなくても可(独立性のみ)弁護士・社労士・行政書士が基本必須+3年内講習
法人形態非営利法人非営利法人のみ(事業協同組合・商工会・農協等)
転籍原則不可本人意思で転籍可(1年超+技能・日本語要件)
対象職種91職種168作業特定技能と同じ17分野に限定
在留期間計5年(1号+2号+3号)基本3年(特定技能へ接続前提)
罰則不法就労助長罪を厳罰化(5年以下/500万円以下)

※ 育成就労の対象は当初「16分野」で議論されたが、令和8年1月23日の閣議決定(分野別運用方針)で17分野に。建設は対象に含まれる。航空・自動車運送は対象外。

02 「相互監査」は使えるか

木嶋さんとお互いを外部監査するスキームの可否

✕ 成立しない見込み

2つの壁で塞がれている

壁① 「他の監理支援機関の役職員」は外部監査人になれない。
木嶋さんはご自身の組合(監理支援機関)の役員。よってエルダルトの組合の外部監査人にはなれない。逆も同じ。弁護士事務所の解説でも「別の監理支援機関の役職員が相互に外部監査することは事実上不可能」と明言。

壁② 外部監査人は士業が基本必須に。
育成就労では資格要件が厳格化され、弁護士・社会保険労務士・行政書士(またはその法人)が基本。事業者同士(非士業)で監査し合う形は要件を満たさない。

※ 技能実習時代は「外部監査人 or 外部役員」の選択制で運用に幅があり、組合同士の協力的な監査も実務上見られた。木嶋さんの「相互に」という発想は技能実習時代の感覚に基づく可能性がある。育成就労では前提が変わる。

03 外部監査人に「なれない人」

育成就労の独立性要件(抜粋)

  • 当該監理支援機関の現役・元(過去5年以内)の役職員、その配偶者・二親等内親族
  • 他の監理支援機関の役職員 相互監査を塞ぐ
  • 同業種の組合構成員およびその役職員 測量・地質で同業だと該当の恐れ
  • 受入企業(育成就労実施者)と顧問契約のある弁護士等、密接な関係者
  • 許可申請やビザ手続きを担当した行政書士本人(自ら作成した書類を監査することになるため)
  • 外国の送出機関の役職員(過去5年以内含む)

04 エルダルト最大の論点

そもそも測量・地質調査は育成就労の対象業務か?

⚠ 要確認・制度上グレー

主力業務が対象外なら、組合再編の前に受入可否の問題

特定技能の建設分野は、従来の19区分から 「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に再編された。育成就労はこの特定技能の枠組みに揃う。

この3区分の業務内容(運用要領 別表6-2〜6-7)に、測量・地質調査・ボーリングは明示的に列挙されていない。土木区分に含めて読めるのか、対象外なのかは要確認。技能実習では「さく井」職種が存在したが、育成就労で同等の受入枠が残るかは別途確認が必要。

→ ここが崩れると、組合の作り直し以前に「そもそも外国人を受け入れられるのか」という話になる。木嶋さん・酒井さんは既に把握している可能性が高いので、真っ先に確認すべき一丁目一番地

05 スケジュール(もう動いている)

逆算するとかなりタイト

組合を新設する場合の逆算: 事業協同組合の設立認可だけで約4〜6か月。その後に「外部監査人(士業)の確保 → 監理支援機関の許可申請」が続く。9月の推奨期限に間に合わせるには、今すぐ着手しないと厳しい

06 コスト感(目安)

組合の新設

  • 設立認可:約4〜6か月
  • 法定費用:なし
  • 設立代行(行政書士):40万円〜

外部監査人(士業)

  • 監査1回:3〜6万円
  • 年間プラン(月次+同行):年30万円前後
  • + 監理責任者講習・体制整備の実費

※ 相場感。実額は契約先・規模・監理費設計により変動。あくまで初期検討用の目安。

07 現実的な代替案

内容評価
A:各組合が独立の士業を起用エルダルト側・木嶋側がそれぞれ別個に弁護士/社労士/行政書士と外部監査契約本命(制度の正攻法)
B:木嶋さんとは別領域で連携外部監査ではなく、組合運営・送出機関・事務の共同化で協力「互いに監査」以外の協業に転換
C:1つの組合に統合別々に作らず共同で1組合を設立、外部監査人は外部士業を1名体制要件(役職員2名以上・担当上限8社/40人)要確認

08 木嶋さんへの確認事項

次に話すとき、この順で詰める

  1. 対象分野:測量・地質調査・ボーリングは育成就労(建設分野)で受け入れ可能か。技能実習では何の職種で受けていたか。
  2. 相互監査の認識:「互いに監査」は技能実習の話か、育成就労でも可能と理解しているか(=他機関役職員NG・士業要件を把握しているか)。
  3. 作り直しの形:既存組合の許可取り直しか、まったくの新設か。エルダルトは組合員として参加か、設立メンバーか。
  4. 外部監査人の当て:士業の心当たりはあるか(共同で1名に委託するか、各自で確保するか)。
  5. スケジュール:2026年9月末の推奨申請に間に合わせる前提で動くか。誰が事務局を担うか。
  6. 費用分担:設立費・外部監査費・監理体制コストの負担割合。

09 出典

本メモはWeb上の公開情報(官公庁・士業事務所の解説)に基づくClaudeの整理であり、法的助言ではありません。許可可否・対象分野・相互監査の最終判断は、申請を担当する行政書士/弁護士に必ず確認してください。制度詳細は運用要領の改訂で変わり得ます。